MENU

【書評】『父が娘に伝える自由に生きるための30の投資の教え』はセミリタイアの確かな道しるべを示してくれる

最近、こんな本を書店で見つけ読んでみました。

「父が娘に伝える自由に生きるための30の投資の教え」。

[rakuten no="9784478108192" shop="book" kw="父が娘に伝える自由に生きるための30の投資の教え ジェイエル・コリンズ"]

著者はジェイエル・コリンズというアメリカの個人投資家です。本書の著者紹介欄から抜粋すると、

何度も転職をする中で、収入の範囲内で生活するようになり、気がつけば夫婦どちらも働かなくても暮らせるようになっていた。実施したのはシンプルな投資だけ。収入の半分を投資、借金をしない、インデックスファンドに投資する。これだけで経済的自由を手に入れた。 娘あてに「お金と投資」についての手紙をしたため、その内容をブログに発表すると、世界中から注目されるようになる。

つまり、経済的自由あるいはFIREといってもいいと思いますが、それを達成した人物で、本書はそれを達成するためのお金と投資の考え方を紹介しているのです。

本書で示されていることを、大まかに書き出してみれば以下のようになります。

  1. 借金をしないこと
  2. 収入の範囲内で生活し貯蓄率を高めること
  3. シンプルにインデックス投資をすること
  4. 「会社に縛られないお金」を作ること
  5. 投資額の4%で1年を暮らせれば、経済的に自立できる。

セミリタイアやFIREを目指しているなら、大いに参考となることが書かれていると思います。

詳細は本書に譲りたいと思いますが、その中で私が参考になったと思うところを紹介したいと思います。

「会社に縛られないお金」の大切さ

本書では、まず「お金」の考え方が示されます。借金をしないとか、収入の範囲内で暮らすといったように当たり前のように思うことも丁寧に説明されています。アメリカ人は結構借金体質なのだとか。

そんな中、お金の考え方で印象に残った部分があります。それが「会社に縛られないお金」の必要性を説く部分です。

著者はこんなたとえ話を披露します。

仲の良い少年が2人いました。それぞれ別の道を進み、1人は質素な僧侶に、もう1人はお金も権力もある王様側近の大臣になりました。 何年もあと2人は出会いました。 大臣は「王様の役に立つ方法を学べば、米と豆しか食べられない生活をしなくて済むよ。 僧侶はこう答えました。 「米と豆で生きる方法を学べば、王様のためにあくせくしなくて済むよ」と。

何がいいたいかはもうお分かりですね。

多くの人は大臣になりたがりますが、「王様のためにあくせく働く」こと、それこそ「会社に縛られた」生活なのです。この考え方でいる限り、会社の奴隷から抜け出すことはできません。

次のように語る著書はどこまでも正しいと思います。

お金で買えるものはたくさんありますが、最も価値があるのは自由です。やりたいことをやり、尊敬できる人のために働くことを選べる自由。 毎月の給料で暮らしている人は、そこから自由になれません。

最適な投資法はインデックス投資

本書のタイトルが「投資の教え」とあるように、メインテーマは投資方法です。

いかにして「会社に縛られないお金」を作るか。そこが最も重要になってくるのは当然です。

とはいえ、本書で紹介されているのはシンプルなインデックス投資です。あとは、債券を少々加えるのもいいでしょうというくらいです。

インデックス投資ができるファンドを初めてつくったバンガード社の回し物ではないかと思うくらい、バンガード推しの著者です(本書中でお金はもらっていないと弁明するくらい)

「あなたはウォーレン・バフェットではありません」・・・はい、その通りです。

長期的に見れば、インデックス投資を上回る成績を上げるのは至難の業であることが示され、余計なことをせずにできるだけインデックス投資に回しなさい。これが著者の言いたいことです。

資産額の4%で生活できれば経済的自立

本書で最も関心を持ったのが、「引き出す比率ー結局、いくら使えるのか」と題された章です。

いったいいくらあれば経済的自立ができるのか、そして資産からいくら引き出して生活すればいいのか。

FIREやセミリタイアに興味のある人で関心のない人はいないのでは?

結論からいってしまえば、資産額の4%で生活できればいい、となります。いわゆる「4%ルール」というやつです。

これはある大学の教授がポートフォリオからどれだけ引き出すと何が起こるのかを調べた研究による結果で、株式と債券のさまざまな構成のポートフォリオを対象として、最大30年間に渡る調査を行ったものです。

例えばこんな感じです。これは「75%株式・25%債券」のポートフォリオでインフレ調整済みのものです。

上段が引き出し率で、それぞれの年数後に資産が残っている確率です。

3% 4% 5% 6%
15年 100% 100% 100% 97%
20年 100% 100% 95% 80%
25年 100% 100% 87% 70%
30年 100% 100% 82% 60%

これを見ると、引き出し率が4%であれば30年後でも資産を維持できることが分かりますね。

さらに、本書では資産残高の中央値も示され、むしろ増えている可能性が高いことも示されます。

これが4%ルールというやつです。当然のことながら、引き出し率が上がれば資産が残っている可能性もだんだん低くなってしまいます。

言い換えれば年間の生活費が資産の4%に相当する額になれば、経済的自立を達成したと言えるのです。

例えば、年間200万円で生活できるとすれば、5000万円の資産があればよいとなります(5000万円×4%=200万円)

より簡単に言えば、生活費×25年分の資産があればよいということになります。

やるべきことはシンプル

本書は経済的自立を達成するための「心構え」「お金の考え方」「投資方法」「資産の引き出し方」を分かりやすい言葉で語ってくれています。

元々が娘にあてた手紙というのも頷けます。

経済的自立を目指すというと、大変難しいことをするように思いますが、実はやるべきことはとてもシンプルです。

収入の範囲内で生活し、できるだけ貯蓄率を高め、できるだけインデックス投資に回す

これだけです。

でも、こんな簡単なことなのにできない人が多いのはなぜか。それはおそらく「継続すること」が難しいのだと思います。経済的自立を達成するまでブレずにやり続ける精神力が必要なのでしょうね。

そんなときはこう考えるといいのでしょう。自分は「大臣」になりたいのか、それとも「僧侶」になりたいのか、と。

きっと初心に帰って取り組みを続けられるはずです。

[rakuten no="9784478108192" shop="book" kw="父が娘に伝える自由に生きるための30の投資の教え ジェイエル・コリンズ"]

最近は、FIREに関する本の出版が相次いでいますね。

https://tiberius-caesar.com/fire-syohyo

https://tiberius-caesar.com/fire-ritaiajutu-syohyo