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出世に興味がない。みんななぜあんなに必死なの?

セミリタイアするということは、当然のことながら「会社」を退職することになります。どうせ退職するのですから、出世を目指す理由はなにもありません。

ということで、私は出世というものにまったく興味がありません。

しかしながら、年度末の3月になると、みんなそわそわし始めます。「あの人は、あのポストにもう3年もいるから次は上に上がるんじゃないか」とか、「あの人は、次にどこのポストにいくんだろう。」とか、「あの人があのポストに行くとは。出世街道から外れたな」とか、ああでもないこうでもないと、くだらないことに頭と時間を使っているのです。それを知ったところで、どうなるというのだ!

それよりも、自分の心配をしたほうがいいのでは?とも思ってしまうのですが、人はこういう"鼻くそ級"のゴシップが大好きなんでしょうね。古代ローマの武将・政治家のカエサルは、かつてこう言っています。

人間とは噂の奴隷であり、しかもそれを、自分で望ましいと思う色をつけた形で信じてしまう。

私などは、人は人、自分は自分という感じなので、他人が出世しようが左遷されようが、かまわない。そんな話を聞いても、「ああ、そう」としか思いません。別に、自分に能力がなく出世する見込みがないので、強がりを言ってるわけではありません。徹底した「他人への無関心」と言ってもよいでしょう。

出世を目指す=まともな人間?

出世とは、会社という組織にいる以上、みなが目指しているというのが、普通であり、まともな人間という暗黙の了解があるように思います。

「出世を目指さないのになんで、会社にいるの?」「出世したくないのは、怠惰なだけだ。」そんな声が聞こえてきそう、というかこれが健全な意見と見なされている。まあ、本当は会社に行きたくなく、仕事もしたくないので、先の批判はまったくその通りなのですが(笑)、しかしそうした本音を公式の場で語ることは、はばかられる雰囲気がある。

そこでは、みんなまじめに仕事に取組み、会社という組織の成長や売り上げに貢献したいという思いに溢れており、みんな出世を目指して日々精進している・・・これがスタンダードな組織人のイメージです。そして、これから外れるものは徹底した迫害と排斥を受けるのです。その意味で、この社会に本当の意味での「表現の自由」はないように思います。公式の場にあるのは、徹底的に滅菌消毒と検閲が施された「タテマエ」が支配する世界。

とはいえ、ここ最近はいくぶんか風通しもよくなっているように思います。ある調査によると、最近の若者で出世したくないと答えた人がかなり増えているらしい。匿名のアンケート調査なので、答えやすかったというのもあるかもしれませんが、そういうタテマエの世界から見ればネガティブな意思を示すことに対する抵抗感が薄くなってきているのかもしれません。

働き方改革」というとってつけたようなものも、少しは役に立っているのか。最近の若い人は、価値観の呪縛から逃れ始めているのかもしれません。

出世することは自分の時間を犠牲にすること

なぜ、出世したくないかと言えば、限りなく自分の時間を失うことになるからです。特に最近は、労務管理が厳しくなってきています。働き方改革で、超過勤務の抑制をしなければなりませんし、職場のパワハラやセクハラなども問題も多い。社員に有給休暇を取らせなければならないということで、その計画を立てねばなりません。また、心の病を発症する社員も多いですし、そうした対応もしなければなりません。

管理職にあれもこれも回ってくるのです。そんなのやりたいと思うほうが不思議です。残業代も出ないのに、こうしたことに自分の時間を犠牲にしているのです。

ほかにも出世すると、どうでもよい付き合いが増えることになります。行きたくもない懇親会に呼ばれたり接待に出なければならず、お金と時間を失っていくのです。そんなのは、まっぴらごめんです。

役職者の傲慢な態度がイヤ

また、自分の上司を見ていても思うのですが、だいたいさらに上の役職の人間との板挟みに苦しんでいる。絶対、いらないだろうという資料を作らされたり、こういうデータを調べろとか、上からの無茶ぶりには、辟易します。係長もなんとか業務量を減らそうと努力するのですが、そうはいっても上の役職のものの強権とは恐ろしいものです。ただただ、自分の興味を満たしたいから、自分の一言で部下たちが右往左往するのが気持ちよいとしか思えません。そして、そうした仕事が平社員に降りてくるのです。

まあ、たいていどうでもよい資料を要求するのは、小心者の特徴です。高い給料もらって役についているんだから、腹をくくればよいものを!

そうした資料やデータを作っても、たいてい「ああ、そう」くらいで終わってしまう。結局、業務量が増え、残業が増え、生産性が落ち、残業が増えという悪循環に陥る。これはいったいなんなんだ!

ほとほと、会社という組織に愛想が尽きているというのが本当のところです。だからこそ、まったく出世というものに興味がないのです。早いところ、こんな組織から抜け出したいという一心しかありません。