【疑問点】つみたてNISA延長にまつわる不明点を検討する
先日、つみたてNISAが延長されるとの報道がありました。
報道によると、政府・与党はつみたてNISAを利用して非課税で積み立てられる期間を延長する方向で制度改正を勧めるとのこと。
https://mainichi.jp/articles/20191122/k00/00m/020/395000c
制度利用開始の時期による不公平を解消することができる制度改正なのですが、その一方で、疑問点というか不明点があるように思います。
それは、現行では選択制となっている「一般NISA」枠を利用していた場合の取り扱いです。
見直しの内容
報道によるつみたてNISAの見直しの概要は以下のとおりです。
現在の制度だと、口座を開設できる期間が2018年~2037年となっており、2018年につみたてNISAの口座を開設した人は、40万円×20年分=800万円を非課税で運用できますが、開設年が遅くなるほど非課税で運用できる金額が減ってしまっていました。
つまり、2019年に開設した人は、40万円×19年分、2020年に開設した人は40万円×18年分・・・2037年に開設した人は40万円×1年分と、始める年が遅くなるほど非課税運用総額が減ってしまう仕組みとなっていました。
これを、つみたてNISAを始めた年から20年(回)分利用できるようにしようというもの。(開設できる初年(制度利用開始期限)は2037年が最後というのは変わらないようです)
これまでがちょっと不公平な仕組みでしたので、それを改善しようという方向は評価できるものではないかと思います。(ホントは20年分と言わず、恒久化してほしいですが。)
とはいえ、ふと疑問点が思い浮かびました。
一般NISAの枠を使っていた場合は?
つみたてNISAとは別に「一般NISA」という制度もあります。
これは、年間120万円まで利用でき、5年間非課税で運用できるというもの。
つみたてNISA | 一般NISA | |
年間利用限度額 | 40万円 | 120万円 |
非課税運用期間 | 20年 | 5年 |
制度期間 | 2037年まで | 2023年まで |
両制度を同時に利用することはできません。年によってつみたてNISAか一般NISAを選択することができます。
例えば、2018年は一般NISAを利用したが、2019年はつみたてNISAを利用ということが可能。ただし、一般NISAは2023年までの制度で延長は検討されていないようです。
で、今回の制度改正で浮かんだ疑問点は次のようなものです。
例えば、2018年と2019年はつみたてNISAを利用したが、2020~2023年までは一般NISAに切り替え、2024年~つみたてNISAに戻した場合。この場合は、2024年から18年(回)分のつみたてNISAを利用することができるのでしょうか。
2018年 | つみたてNISA |
2019年 | つみたてNISA |
2020~2023年(一般NISA期限) | 一般NISA |
2024~20??(18年利用できる?) | つみたてNISA |
つまりは、一般NISAを利用している間は、つみたてNISAの利用が中断しているとみなして、再度利用開始以降にカウントを開始して20年分使えるのかと言い換えてもよいでしょう。
さらに言えば、2018~2023年まで一般NISAを利用して、2024年からつみたてNISAを利用開始すれば、そこから20年(回)利用できるのでしょうか。
そうすると、2018年から選択の上、つみたてNISAを利用していた人は、不公平に感じるのではないでしょうか。
なぜなら、最大で非課税口座を開設できる年数が6年違ってくるからです。2018年からずっとつみたてNISAの人は2037年が最後になる一方、2018~2023年まで一般NISAを利用して2024~2043年までつみたてNISAという人は26年間非課税口座を作ることができるようになってしまうのですから。
この仕様になるのであれば、来年から一般NISAへの切り替えも検討しないいけないかもしれません。
現実的な制度はどうなる?
現時点では情報がなく、どのような制度になるのかは分かりません。ただ、上記のような制度にはならないような気もします。あまりに不公平だからです。
現実的には、「2018年以降の一般NISAを利用した年も含めて20年(回)」というものになるのではないかと思います。
つまりは、例えば2020年から一般NISAを始めた人も、つみたてNISAを始めた人も、最後につみたてNISA枠を開設できる年は、2039年までというもの。
なので、2023年までの間に一般NISAを挟もうと、つみたてNISAの開設可能年を延ばすことはできないのではないかと思うのです。
政府は、何かと規制緩和は避けようとしますので、非課税口座開設可能年数を増やすような「ウラワザ」を認めない方向になるのかなと個人的には考えています。
いずれにせよ、今後の制度情報には注意していきたいと思います(とはいえ、2020年は引き続きつみたてNISAにするしかないかなあ)