【必見?】カエサルに学ぶ絶対に失敗しない浮気のやり方
正直またか、という思いである。
朝ドラ女優と結婚している俳優が、20代の若手女優と浮気していたとのこと。芸能ニュースでは、ときおり出てくる「浮気・不倫」の話題です。
そんな中、今回の件が人々の関心を誘ったのが、これまでおしどり夫婦と思われてた夫であったこと、また誠実そうな爽やかなイケメン俳優と思ってたのに、裏の顔がとんでもなくヒドかったというギャップではないかと思います。
ただ、結局のところ、これまでの浮気・不倫のニュースと同じく「ハナクソ級のゴシップ」であることに変わりないのに、みんなうれしそうに話題にしているので「あぁ、やはり日本は平和な国だなァ」としみじみと思った次第です。
東出クンは大失敗だったわけ(特に女性からの嫌悪がすごいらしい)ですが、世界を見渡せば「女にモテただけでなく、その女たちから一度も恨みを持たれなかったという稀有な才能の持主」も存在します。
「ローマ人の物語」の著者塩野七生氏による「なぜカエサルは浮気しても失敗しなかったのか」について、鋭い分析がされているので、ご紹介したいと思います。
ユリウス・カエサルとは?
まず、ユリウス・カエサルについて、簡単に紹介しておきましょう。
古代ローマに生まれた人物で紀元前100年ころの生まれとされています。
40代ころから頭角を現し、軍団を率いれば必ず勝利を収め、政治家としてもローマを帝政へ導き、その後の繁栄の礎を築いています。
文章を書けばラテン語の傑作として後世に名を残し、演説は聞くものを惹きつけてしまう。
特に彼が率いた軍団の兵士は、彼に心酔しきっており、「男が惚れる」型の人物であったらしい。
「ローマが生んだ唯一の創造的天才」と言われるだけのことはあります。
一方私生活では、大の女好きとして有名で、自身も議員を務める元老院の議員の3分の1がカエサルに「寝取られた」という人もいるくらい。
世界三大美人の1人として有名なエジプトのクレオパトラも愛人の1人として有名です。
しかし、それでいてその女たちの誰からも恨まれなかったという。
そう、カエサルは「浮気」の方面でも、「天才」であったらしいのです。
カエサルの浮気とは?
カエサルの浮気とはどのようなものだったのか。塩野氏によれば、
カエサルだけが、列をつくって自分の順番がくるのを待つかのように、上流婦人を総なめにする栄誉に輝いたのである。
男にとってはうらやましい(?)限りの状態ですが、彼のような一流の人間がやる一流の浮気のやり方とはいかなるものだったのか。
①未婚の娘には手を出さない
カエサルも相手であれば誰でもよかったというわけではなかったようです。なかなかズル賢いところがあるようで、
妻を離縁して自分と結婚してくれという怖れのある、未婚の娘には手を出していない。彼が相手にしたのはいずれも、有夫か結婚歴のある女にかぎられていたのである。
なるほど、未婚の女に手を出した東出クンはカエサルに言わせれば「分かってないなァ」ということか。
②豪華な贈り物攻めにする
彼は愛人たちに豪華贈り物をしまくっていたらしい。それが、有名な莫大な借金の原因の一つでもあったらしいですが、
借金が増えるからといって贈物をしなくてもよいなどと言うのは妻であって、それ以外の女ならば例外なく愛おしいと感ずる。
とのこと。
カエサルがとある愛人に贈った宝石は、ローマの高級住宅地に立つ豪邸が2つも買える値段であったらしい。
スケールが違うということか。
③愛人の存在を隠さなかった
そして、カエサルは愛人の存在を誰にも隠さなかったらしい。もはや「公然の秘密」ともいうべき状態であり、こうなれば誰も気にしなくなるということでしょう。
秘密が暴露されるなどというスキャンダルが物理的に発生しなくなる。すでにみんな知っているのだから。
④関係を清算しなかった
また最も重要と思われるのが、塩野氏によればカエサルは次々にモノにした女の誰とも、決定的には切らなかったらしい。
例えば、
20年もの間公然の愛人であったセルヴィーリアには、愛人関係が切れた後でも、彼女の願いならば何でもかなうように努めた。 彼女の息子が自分に剣を向けたときも、戦闘終了後の安否を心配し、生きていたとわかるとただちに母親に伝えさせている。 また、公然の愛人がクレオパトラになった後でも、セルヴィーリアの生活に支障がないよう、国有地を安く払い下げるなどという、公人ならばやってはいけないことまでやっている。
自分に剣を向けた男でも、愛人の息子であれば面倒を見てやるというのはなかなかできることではありません。
ちなみにカエサルに剣を向けたセルヴィーリアの息子というのが、のちにカエサル暗殺の首謀者となるブルータスです。「ブルータス、お前もか」のブルータスです。せっかく助けてやったのに。
塩野氏によれば、女が何よりも傷つくのは、男に無下にされた場合なのだという。
その点、カエサルはどの愛人とも関係を完全には切らず、塩野氏の言うように、例え妻がいる場であってもかつての愛人を見つければ、やさしく手を取って「どう、変わりない?」などと話かけていたのかもしれない。
東出クンも若い女に溺れて、正妻をないがしろにしたのがイケなかった。
小さな子供を抱えている妻がいるのに浮気したという点が世の女性の怒りポイントなのでしょうが、より正確に言えば「妻を気遣っていなかった、無視していた」ということが女性たちの無意識の反感を買っているのです。
「女は、無視されるのが何より傷つく」のだから。
凡人が失敗するわけ
こうして見ると、凡人が浮気で失敗する理由がよくわかるような気がする。
浮気などというものは、高度な技術を要するものであり、人間の心理をいかに読みとるかにかかっているのです。
確かにカエサルは民衆からは圧倒的な支持を得ていました。また、率いる軍団の兵士たちはみな彼に心酔し、彼のために進んで命を差し出すようになるのです。
これぞ人心掌握の極地ともいうべきものでしょう。
これは大衆であっても男であっても、そして女であっても同じことで、人の心をつかむのが天才的であったカエサルだからこそ、完璧な(?)浮気ができたのであり、我々凡人はモラルを守って普通に暮らすに限ります。
東出クンも「ローマ人の物語」を読んでおくべきでしたね。
今回の引用部分は「ローマ人の物語 ユリウス・カエサル ルビコン以前」の第四章中「カエサルと女」より。
[rakuten no="9784101181585" shop="book" kw="ローマ人の物語(8) ユリウス・カエサル ルビコン以前 上 (新潮文庫) 塩野七生"]