セミリタイアで失われる経済的利益はどのくらいか?
セミリタイアとは、読んで字のごとく会社を「リタイア」することを意味します。
もちろん、「セミ」なので少しばかり労働するつもりはありますが、無理のない範囲でパートやアルバイトをやるくらいでしょう。
ともかく、会社を辞めるのですから、その後の「お給料」というものがもらえなくなります。
これがセミリタイアによる「経済的利益」の損失と言ってもよいものです。
では、セミリタイアによって失われる経済的利益はどれくらいなのでしょうか。
生涯賃金は2億円
よくサラリーマンの生涯賃金は2億円と聞きます。もちろん、人によりけりだと思いますが、大卒正社員ならばそれくらいなのかもしれません。
労働期間を40年とすれば、1年あたり平均500万円となります。
当然のことながら、年功序列の日本型雇用であれば、若い年代では年収が低く、年齢が上がるにつれてだんだん上がっていくことになりますので、それらをすべて平均すれば、まあそのくらいなのかなという感じ。
単純に計算すれば、例えば40歳でリタイアした場合は、20年×500万円=1億円の給料を捨てることになります。
ただ、セミリタイアする年齢によって、その後に手にしたであろう給料も変わってきます。若い年齢でセミリタイアするほど、失われる経済的利益はより大きくなることが予想されます。年齢が高いほど高い給料をもらうはずだからです。
そこで、もう少し細かく試算してみたいと思います。
年代別の年収中央値
そこで、年代別の年収の中央値を参考としてみたいと思います。
中央値は、低い数字から高い数字までを順番に並べたうちのちょうど真ん中に位置する数字のことです。
日本全体の年収中央値は360万円!?平均年収との違いを徹底解説というサイトによると、年代別の年収の中央値は以下のようになります。
20代 | 300万円 |
30代 | 410万円 |
40代 | 520万円 |
50代 | 530万円 |
60代 | 380万円 |
若いうちは給料が抑えられていて、年代が上がるにつれ上がっています。ただ、比例的に上がっていくのではなく、40代くらいからは給与カーブの傾きが小さくなって、40代と50代ではあまり変わらなくなっていますね。
若いうちの給料を抑えた分、40代以降の給料が大きくなるという形なので、若く辞めるほど損失は大きくなることが感覚的に分かりますね。
退職年齢別の経済的損失
それでは、退職時の年代別の経済的損失を計算してみましょう。
計算の前提として、
- 当該年代の計算はすべて上記の中央値を用いる
- 定年は60歳とする
- 定年後の再雇用は含めない
1点目を補足すると、30歳~39歳まではすべて300万円で計算するということです。
この場合は、30代=410万円×10年=4,100万円、40代=520万円×10年=5,200万円、50代=530万円×10年=5,300万円と計算します。
退職年齢 | 経済的損失(年収) | 経済的損失(手取り) |
30歳 | 1億4600万円 | 1億0220万円 |
35歳 | 1億2550万円 | 8,785万円 |
40歳 | 1億0500万円 | 7,350万円 |
45歳 | 7,900万円 | 5,530万円 |
50歳 | 5,300万円 | 3,710万円 |
このようになりました。参考として、手取り金額も計算しています。一般的に手取り額は年収7割程度なので(所得税や社会保険料で約3割引かれる)、70%をかけた数字です。
どうでしょうか。すごい金額だと感じるか、そうでもないかと感じるかは人それぞれでしょう。
40歳で退職した場合は、年収で1億円、手取りで7,000万円を得る可能性を永遠に放棄することになるのですね。
また、逆に言えば例えば40歳で7,000万円程度の資産を築くことができれば、退職してもかまわないと言うこともできるかもしれません。
自由の代金である
これらの金額は、言い換えれば「自由を得るための代金」ということもできるでしょう。
その金額を得ない代わりに、会社に縛られない自由を得るわけですから。
個人的には自由の代金と考えれば、それほど高くないという感じがします。なんせ、人生の時間は限られているのです。
お金はその気になれば、また稼ぐことはできますが、時間をお金で買って増やすことはできません。
そう、最も価値あるものは「時間」なのです。ほかの誰でもない私だけに与えられた有限の時間。
それを自由に使える期間を長くすることができるのならば、「安い買い物」と言うこともできるのではないでしょうか。
まさにお金は自由を買い戻すための代金です。