労働は日本人にとって「美徳」なのか?
先日、テレビの討論番組を見ておりました。
内容は、日本の将来について。特に、少子高齢化の進む日本はどうなるのかというもの。
その中では、現在の高齢者の定義(65歳以上)を見直し、例えば75歳以上にすれば、労働人口をある程度維持できるとか言ってました。要するに、「一生働け」ということです(私はまっぴらごめんですが)。
こういう議論はよくありますし、最近「人生100年時代」などと調子のいいことを言って、そういう方向へ誘導しているので、取り立てて珍しいこともない。
そんな中、あるコメンテーターの意見が気になりました。
いわく、「昔から日本人は、労働を美徳と考えてきたので、ずっと働くこともなんらおかしくない」とのこと。本当でしょうか?
宗教の問題?
「日本人」と限定したのは、欧米人との対比です。いわく、欧米では労働を「苦役」と考えている。これは、キリスト教的な発想であると。キリスト教及びその母体となったユダヤ教では、アダムとイブが「禁断の果実」を食べたために楽園を追放され、苦役を背負わされることになったということでしょう。
https://tiberius-caesar.com/semiritaia-kindan-kajitsu
だから、欧米では早いことお金を貯めこんで、早くリタイアすることを理想としている(まさに、セミリタイア!)
一方の日本人は、「仕事があってありがたい」とか、「仕事を通じて人間として成長する」とか、「人の役に立つことが喜び」とか言って、「労働」=「美徳」という感覚があるのだそう。
だから、「体が動く限り働きたい」というのは自然なことなんですって。
これが本当だとすれば、「セミリタイア」を目指すことは、人倫に反する行為ということなのでしょうか。
ウソばっかり!
日本人は世界一自分の会社を嫌っている
以前にも書きましたが、日本のサラリーマンは世界一自分の会社を嫌っています。
https://tiberius-caesar.com/sarariman-kaisya-kirai
つまるところ、日本のサラリーマンは世界でいちばん会社が嫌いであるが、世界でもトップレベルの長時間労働をしていて、それにも関わらず世界(先進国)でいちばん労働生産性が低いということになります。
どこが、「労働」=「美徳」なのでしょう。みんな、会社を辞めたくてしょうがないのです。イヤイヤ働いている光景が目に浮かぶようです。
では、なぜ「労働」=「美徳」などというものが、言われるのでしょう。それは、そういう価値観が「建前」として定着しているからだと思います。
これは会社にとってとても都合がいい。長い時間をかけてそういう価値観を醸成してきたのでしょう。だからこそ、根が深いのだと思います。
世間のことは気にしないこと
世間一般では、やはり「まともに働かない」というのはまだまだ受け入れられないようですね。
確かに、欧米で「セミリタイア」とか「ファイアムーブメント」が起こるというのは、宗教(キリスト教)的価値観の影響は確かにあるかもしれません。そういう意味で、私は欧米人に近いのでしょうか?(キリスト教徒ではありませんが)
でも、宗教に関係なく、「労働」=「苦役」というほうが自然な気はするんですけどね。みんな、こころの中では思っていても、「言ってはいけない」とされている。
結局は、自分のしたいようにしたもの勝ちではないでしょうか。世間一般のことなど気にしないことですね。
世間の目を気にし過ぎると何もできなくなります。