親の介護費用をセミリタイア計画に想定しておくべきか
セミリタイアに関する計画といえば、「お金」の計画がメインになります。生活費はどれくらいを想定するか、どのように資産を運用していくか、セミリタイア時点でどれくらいの資産を作っておくか・・・
セミリタイア後にかかる費用としては、基本的に1人暮らしの生活費を想定しています(今のところ結婚の予定はなし)。住居費や食費、税金等などは必須でしょうが、果たして「親の介護費用」も想定にいれておくべきなのでしょうか。
今のところ両親は健康ですが、いつ何があるか分かりません。介護が必要な状態になる可能性は誰にでもあります。親ですから、法的にも道義的にも扶養(世話)する必要がありましょう。
「介護費用」というとかなり大きな金額になるイメージがありますが、果たして実際のところはどれほどなのでしょう。
親の介護費用を想定に入れるかどうかは、非常に大きな問題ではないかと思うので、考えてみたいと思います。
介護費用はどれくらいかかるのか?
それでは、介護にかかる費用はどれくらいなのでしょうか。
家計経済研究所が2016年におこなった「在宅介護のお金と負担」によると、月々に在宅介護にかかる費用は平均5万円とのこと。
当然のことながら要介護度によって費用は異なります。介護度が高くなるほど金額も大きくなり、一番重い要介護5では7.4万円となっています。
要介護1 | 要介護2 | 要介護3 | 要介護4 | 要介護5 | 全体 | |
費用 | 3.3万円 | 4.4万円 | 6万円 | 5.9万円 | 7.4万円 | 5万円 |
ちなみに、介護度の目安は以下のような区分のようです。
介護度 | 状態 |
要介護1 | 生活の一部に部分的介護を必要とする状態。 排泄、入浴、着替えなどに一部介助が必要。 |
要介護2 | 排泄、入浴などに一部もしくは全て介助が必要で、着替えに見守りなどが必要な状態。 |
要介護3 | 重度の介護を必要とする状態。排泄、入浴、着替えについて全て介助が必要な状態。 |
要介護4 | 最重度の介護を必要とする状態。排泄、入浴、着替えについて全て介助が必要な状態。 |
要介護5 | 寝たきりの状態。生活全般にわたって全面的な介護が必要な状態。 |
月々平均で5万円ということですから、年間では60万円ほど(介護保険による自己負担分の数字を反映したもの)
もっと大きな金額のイメージがありましたが、介護保険で自己負担がある程度抑えられているのかもしれません。
とはいえ、介護の期間を10年とすれば、総額で600万円ほどかかり、決して小さな金額ではありません。
また、在宅ではなく介護付の老人ホームなどに入居することになれば、さらに費用はかさむことになります。
仮に月額で20万円とすれば、年間で240万円。5年であれば1,200万円、10年で2,400万円かかることになります。
これを負担することになれば、なかなか大きな金額です。
基本は親自身に負担してもらう
介護にかかる費用を見てきましたが、前提としてすべてを介護者が負担するものではないと思います。
まずは、本人が年金や貯蓄の中から費用を出すのが第一でしょう。自分の面倒は自分で見てもらう。
私自身の場合でいえば、今のところ両親は健康ですし、父はサラリーマンで定年まであと数年というくらい。在宅介護の平均費用くらいであれば、自分たちの身辺を賄う程度の蓄えはあると思います。
それでも足りないということになれば、援助は必要でしょう。セミリタイアしていれば、ただでさえ、ろくに働きもしていないのですから世話くらいしても罰は当たらないと言われそうです。
資金はもちろん、セミリタイア用に用意した資産から出すほかありません。そうなると、計画外の出費ということになります。対策としては、予備費を計画に積んでおくとか、厳し目の計画(多めの生活費想定、低めの利回り想定)をしておくことべきでしょう。
上記の在宅の場合の介護費用くらいは出しても大丈夫というくらいの余裕のあるセミリタイア計画を組んでおいても損はないかと思いました。
親ではなく自分に必要になるかも
今回、介護費用のことを考えたのは、最近自分の親も年を取ったなと思ったからです。
元気だと思っていても、やはり10年前とは違います。髪の毛も白いものが目立つようになってきましたし、体力も確実に落ちている。今年に入ってから、父は1泊2日くらいの簡単な手術も受けました。私も年を取っていますが、当然のことながらみんな同じく年に1回年を取っているのです。
今は元気でもこの先何があるか分からないのが人生です。
親の将来の介護費用のことが気になり調べましたが、参照したデータが本当であれば、在宅介護であればなんとか自分たちで資金面は工面してもらえるのではないかと思いました。老人ホームまではさすがに厳しいかもしれませんが。
親の心配をしていましたが、よく考えれば自分自身が介護が必要になる可能性もあります。独り身であれば、介護してくれる身内はいませんから、サービスを頼むとさらにお金がいるかもしれません。
エクセルで資産シミュレーションをやってみたりしていますが、その辺りを考慮して70代、80代でもある程度まとまった資産が残っているように計画しておくほうがよいと思いました。
しかし、考え始めるとどれだけ資産があっても不安になりますね。そのときはそのときと、ある程度割り切ってしまうことも必要です。なにせ、人生の時間は有限なのです。まして、健康で元気に活動できる時間はさらに限られるのですから。